プラスワン1

プラスワンの章です。ここでは何を書くのか?と聞かれるとちょっと困るのですが、直接ラーメンには無くてもいいかもしれないけれど、あってもいいんじゃない?的なものを書いていこうと思います(ナルトは除く)。

化学調味料

やはり、これは書かねばなりますまい。昨今、特にラーメンマニアの方たちの間で「化学調味料はラーメンに入っているべきでない」的な発言が目立つようです。筆者は、これには常々疑問を持っていました。果たして化学調味料はラーメンにとって本当に悪なのか?皆さんはどうお考えですか?

筆者の個人的な考えを結論から言いますと、「化学調味料は必要以上に入っているべきでない」あるいは、「使い方によっては非常に有効なものである」ということです。

当然、化学調味料否定派の皆さんの意見が「化学調味料で誤魔化すのは悪である」という意味であるのは重々承知しています。スープにコクがなかったり、出来が悪かったり、タレがしっかりしていなかったり、つまり旨みが足りない分を化学調味料で補う(誤魔化す)のは筆者も反対です。

ラーメンを口にした時、はっきり化学調味料の味がするようでは、正直な所筆者には食べる価値がありません。味○素系、ハ○ミー系、ほん○し系等、便利な化学調味料でありながら、それと分かると言う事は入れすぎだということです。特に筆者のように商売でやっているものにとって、化学調味料に頼るということは自分の技術や知識、経験の無さを暴露するだけでなく、美味しいものを作ろう、お客さんに喜んでもらえるラーメンを作ろう、という熱意が無いと宣言しているようなものです。

その手の化学調味料で出せる味は、ほとんど全部が自然界に存在するもので、より美味しいものが作れます。材料を手に入れて、手間暇をかけるだけのコトです。少なくともお客さんからお金をもらう以上はそれだけの価値のあるものをお出しするのがプロであり、商売です。誤魔化しのあるものを出すなんて、持ってのほかです。

しかし、家庭で作る分には時間や設備、材料、そして失礼ですが技術にも限りがありますので、度を越さなければ便利なものである、とも言えると思います。

と、まあ、ここまではどちらかというと化学調味料に否定的な事を言っているつもりです。


ここからは、化学調味料の利点について書きたいと思います。筆者は、はっきり言ってラーメンに味○素系の化学調味料を使います。しかし、食べても絶対に分からない量です。それは何のためでしょう?

実は、それには、味を丸くする、と言うか、整える、と言うか、当たりを柔らかくするというか、そういう力があるからです。たとえば、味が金平糖(若い方はご存知でしょうか?)のようにぎざぎざ、とげとげの味だったとします。それに味○素系の化学調味料を微量加えると、真ん丸いツルツルしたボールのようになります。筆者が店で出しているラーメンは力強いけれどもまろやかである、という方向性でやっていますので、そういう部分も必要なわけです。

もう一つ、例えば塩分濃度はこれでいいんだけれども、塩味の当たりがキツイ、という事もあるでしょう。そんな時にほんの微量化学調味料を加えてみてください。味の濃さは変わらないけれど、当たりがぐんとやわらかくなるはずです。

さらに、ラーメンのスープもタレもそれぞれバッチリ、イメージ的には完璧に出来ているはずなのに何だかバラバラ、と言う時があります。そんな時にやはり微量加えると何故かまとまります。そんな風に、それぞれ主張しあってバラバラであるものの調和をとってまとめるという作用もあります。

ということで、筆者は条件付で化学調味料肯定派です。誤魔化しのためでなく、どちらかと言えば縁の下の力持ち的な使い方であれば。何事も過ぎたるは及ばざるが如し、使い方に気をつければ非常に力強い味方だと思います。

もちろんこれはあくまでも筆者の個人的な考えですから、例えば少々荒っぽい味だけれどもそこが力強さにつながる、といって使わない人もいるでしょうし、逆に化学調味料の旨みでラーメンをおいしく食べる人もいるでしょう。

どっちでもいいじゃないですか。人それぞれで。嫌いな人は使わなければいい。好きな人は使えばいい。「化学調味料は使わないのが本格派っぽいから」なんてくだらない理由で決めつけるなんて馬鹿馬鹿しい。「化学調味料を使っているから美味しくない」なんて思うのは本質からはずれています。超有名な繁盛店で、超美味しい店でも化学調味料を使っている店がたくさんあります。大切なのは全体のバランス、肩の力を抜いて美味しいラーメンを楽しみましょう。


ラーメン概論
4章分
スープ/理論
7章分
スープ/実践
12章分
ラーメンのタレ
11章分
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9章分
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15章分
プラスワン
3章分
さあ、作ろう!
3章分
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